『クリスマスのまえのばん』(福音館書店)

今年のクリスマス絵本は『クリスマスのまえのばん』。1822年のクリスマス・イヴに、学者クレメント・C・ムーアが、子供たちを喜ばせようとして作った「セントニコラウスの訪れ」というタイトルの有名な物語詩である。私も遠い昔、読んだことがある絵本だ。このサンタクロースは赤い服を着ていないんだな…と不思議に思ったのを覚えている。確か、映画にもなっていたはずだ。

物語詩であるため、リズミカルな文体で子供でも読みやすい。加えてこの絵本は、挿絵がとてもよい。夜をイメージさせる深い青色を基調としていながら、とても温かみを感じる。子供達の幸せそうな寝顔に、ちょっとおどけたニコラウスの笑顔、そして色々なおもちゃ…。クリスマス・イヴのワクワクとした感じが伝わってきて、読んでいるだけで幸せな気持ちになる。

クリスマスの前の晩に紹介できなかったことが悔やまれるが…クリスマス絵本としては秀悦だと思うので、機会があったらぜひ手に取ってみてほしい。

『クリスマスってなあに?』(岩波書店)

今日はクリスマス。今やすっかり日本にも根付き、社会的な行事としてもすっかり定着しているが、そもそもクリスマスとは何の日なのかをきちんと知っている人は意外と少ないのかもしれない。子供達などはおそらく「サンタさんがプレゼントを運んで来てくれる日」と思っているだろうし、多くの若者も「恋人とロマンチックに過ごす日」くらいにしか思っていないのかもしれない。この絵本は、クリスマスの成り立ちやクリスマスの本家である欧米諸国のクリスマスの風習等をわかりやすく解説している絵本である。クリスマスカードや挿絵の仕事をしていたという作者の描く赤、水色、黒の三色刷りの絵は温かみがありとても美しい。

絵本はベツレヘムの馬小屋でイエス・キリストを出産したマリアの物語から始まり、クリスマスの準備について、キャロリングやクリスマスプディングといったイベント、プレゼントを贈り合う理由、そして日本ではあまり知られていない「十二夜」でクリスマスが終わることなどが優しい口調で語られている。子供だけでなく、大人も新しい発見があるに違いない。内容的には少し難しい部分もあるので親がわかりやすくかみくだいてあげると良いだろう。聖夜に読むのにふさわしい、美しく優しい絵本である。

『アンパンマンのサンタクロース』(フレーベル館)


ちびっ子達のヒーロー「アンパンマン」の作者やなせたかしさんが13日、心不全で亡くなられた。94歳だった。

やなせたかしさんの「アンパンマン」がヒットし、有名なったのは60歳を過ぎてからだったという。昭和48年にスタートした絵本「アンパンマン」のシリーズは、今年で40周年、これまでに350の本が出版された。普通ならリタイアを考え始める時期からの大ヒット、94歳という高齢になっても、直前まで現役で仕事をされていたことは本当にすごいと思う。

私の記憶に残っているアンパンマンの絵本は、比較的初期のものだ。アンパンマンが怪我をしたサンタクロースに代わり、プレゼントを配るというお話だ。この絵本のアンパンマンは、調子にのって失敗したりとなんとなく人間臭く、テレビアニメとはまた違った味わいがある。そこが面白く繰り返し読んだ。

ななちが生まれてから、家では特にアンパンマンのテレビを見せたりはしなかったのだが(ストーリーが絵本のイメージと異なり少し苦手であったのだ。)いつの間にかななちは街でアンパンマンを見つけるたびに「あんぱんまん!」と言うようになっていた。テレビのCMや育児用品のイラストでいつの間にか覚えてしまったのである。子供を惹きつける不思議な魅力があるのだなあと驚いた。「我が家にアンパンマングッツは導入しない!」と言っていた夫も、ななちのおねだり攻撃に負け、誰よりも先にアンパンマンのおもちゃを買ってきた。その後なし崩し的にアンパンマングッツは増え、アンパンマンミュージアムにも二回ほど行った。大喜びで巨大なアンパンマンボールで遊ぶななちの姿を見て、昔の絵本とは違っても、これもやっぱり子供達のヒーロー、アンパンマンなのだなあと思った。

やなせたかしさんが亡くなられても、これからもアンパンマンは子供達のヒーローとして生き続けて行くことだろう。やなせたかしさんが築いた世界観を崩すことなく、サザエさんやドラえもんのようにいい形で引き継がれて続いて行って欲しい。

子供達にたくさんの夢を与えてくれたやなせたかしさん、ありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたいます。

『メリークリスマス、 ペネロペ』(岩崎書店)

「ペネロペ」シリーズのクリスマスの大型仕掛け絵本。2歳頃、ななちがペネロペにどハマりした時期に買ったものだが、今でもお気に入りの絵本だ。油絵で描かれた可愛らしい絵とコミカルな文章が魅力のペネロペは、大人のファンも多いと思う。

いつものうっかり屋さんぶりを発揮しながら、ドタバタとクリスマスの準備に励むペネロペの一日を、楽しい仕掛けを交えながら描いている。ななちのお気に入りは、「ガラガラ ドッシン!いすから おちちゃった!」のページだ。ページ下の紙を引っ張ると、クルクルと結構な回転をしながらペネロペが椅子から落ちていく。ケラケラ笑いながら何度も遊んでいた。

ペネロペは作者自身の娘をモデルにしているだけあって、とてもリアルな3歳くらいの子供の姿を投影している。いい子過ぎないいたずらっ子という部分は、どこかノンタンに通じるものがある。

『ノンタン!サンタクロースだよ』(偕成社)



子供の頃大好きだったノンタンシリーズ。いたずらっ子でやんちゃなノンタンは、自分が子育てをしている今読み返すと「これこそリアリティのある子供の姿だ」と思う。怒るし、拗ねるし、悪態もつくし、独り占めするし、言い訳もする。そんないい子過ぎない自然な感じが、親近感があって好きだったのかもしれない。

ノンタンは、サンタさんにプレゼントを直接お願いしようと、クリスマスの夜にサンタさんを探しに出かけてしまう。寝ないとサンタさんはやってっこないのに…。

見開き二ページにわたり、色々なサンタが描かれている。ななちのお気に入りは一人だけ女の子の魔女サンタだ。その下にいる金魚鉢に入った魚サンタもいい味を出している。ペンギンサンタはアザラシにソリをひいもらっていたり、カニサンタは亀に乗ってたりと、細かく見ていくと色々な発見があり面白い。こんなにたくさんのサンタがいるのに、ねこサンタだけがやってこない。そのがっかり感と不安が、最後の喜びを大きくしてくれる。

子供の頃、私もサンタさんに会おうとベットに潜って待っていたことがある。待っても待っても現れず、このままでは本当に来ないのではないかと心配になり、とにかく寝ようと趣旨替えするが、今度は気が高ぶって眠れない。半泣き状態でどうにか眠りにつき、目が覚めるとちゃんとプレゼントがあった。あの時のホッとした気持ちと喜びは今もよく覚えている。
クリスマスイブには、夜更かしせず、ノンタンを読んで早く寝よう。

『ぐりとぐらのおきゃくさま』(こどものとも・傑作集)

子ども絵本の大定番、「ぐりとぐら」シリーズのクリスマス絵本である。表紙には、マントにニット帽という冬服スタイルのぐりとぐらが仲良くならんでいる。ちなみに、ニット帽もやはりぐらの方が帽子の丈が短い。これは全作品統一されているようだ。

森の中で雪あそびをしていたぐりとぐらは、大きな穴を見つける。それが、足跡だと気がつき、辿っていく二匹。なんとその足跡は二匹の家まで続いていた。大きな長靴にオーバー、手袋…荷物はあるのに姿は見えない大きな「おきゃくさま」をドキドキしながら探して行く。読んでいる私達までお家探検している気分になる。「おおきなおうちだね〜」とななちも感心しきりだ。

ぐりとぐらシリーズの中で、この絵本のみが縦長であるが、それによって最後に出てくる「おきゃくさま」の大きさが上手く際だたされている。

『あのね、サンタの国ではね…』(偕成社)

12月に入ると、書店に沢山のクリスマス絵本が並ぶ。2歳のななちに、サンタクロースの存在をどう説明しようかと思っていた時に見つけたのがこの本だ。

北の果てにあるサンタクロースの村には大勢のサンタがいて、12月のイブの夜に向けて忙しく働いている。プレゼントを作ったり、太りすぎないよう体重測定をしたり、よいこを探してプレゼントを決めたり、トナカイを世話し、ソリを手入れしたり…。サンタの日常が、やわらかく、かわいらしいタッチの絵で描かれている。

一年中忙しく働く大勢のサンタ達を取りまとめるのがグランサンタだ。一番大きくて、優しくて、みんなから愛されれいるグランサンタは、まさに、フィンランドのサンタクロース村で「コニシキ、サイズ!」と大きな手のひらを差し伸べ握手してくれたあのサンタクロースのイメージだった。

「グランサンタは、一人だけれど、プレゼントを配るサンタクロースは大勢いる」というこの絵本の設定は、クリスマス近くになると街中にあふれるサンタクロースの存在を説明するのにちょうどよい。店の前でケーキを売るサンタを見て「まだ練習中なんだね(=ソリに乗れないから歩いている)」とそっと呟き、納得していた。