音読の宿題
5月から宿題が出るようになった。毎日の教科書の音読に加え、週二回プリントが一枚ずつだ。一年生ならこんな量かもしれないが…六年生になっても変わらないというのだから驚きだ。何でも、塾の宿題が多くて大変だから学校の宿題は減らして欲しいという保護者の声が多いためらしい。それだけ学校や家庭以外での勉強、つまり塾に比重が置かれるようになってきているということであろう。
フルタイムで働いていたりすると、帰ってから家事をし、その上子供の勉強まで見るというのは難しいと思う。それ故、塾へ行かせる家庭が増加するの自然なことだと思うし、納得できる話である。しかし、だからと言って学校が塾に気を遣って宿題を減らすというのは…なんだかおかしな話だと思う。
ただ、学校が毎日出す音読の宿題については、私は評価している。内容的には、子供が親の前で教科書を音読し、親は聞いたらカードにサインと評価をするという簡単なものである。高学年になってまでこんなことをする意味がわからない、という声も多いらしいが、私はとても良いことだと思う。
よく言われていることだが、音読は黙読よりもたくさん脳を使う作業である。音読を行うことで、記憶や感情を司る前頭前野の活動を活発化し、学習能力を高めることができる…ということも言われている。
しかし、ただ文を読み上げるだけではあまりそうした効果はないと思う。書いてある目で文字を追い、それを理解し、言葉として正しい音や適切な抑揚で読む、という一連の作業があってこそ、前頭前野は活発化するのだ。つまり、感情を込めず、抑揚もなく、適当な発音でやっつけ仕事的に読んでも、あまり意味はないのだ。
子供に「きちんと読ませる」ためには、親の方も「きちんと聞く」姿勢を示すことが大切だ。台所で家事をしながら「きちんと読みなさい」といったところで全く説得力はない。家事の手を止め、子供のそばに座り、子供の顔を見て聞く姿勢を見せれば、子供も張り切り、真剣に音読するはずだ。
音読にかかる時間は5分もかからない。一日に一回、子供と向き合う時間を作って欲しい。音読には、学校からのそんなメッセージも込められているのではないだろうか。
2013.5.23投稿