シド・ミード展へ
この10連休中、東京で開催しているシド・ミード展へ行ってきた。午前中は激混みとの情報があったので、時間を遅らせて夕方4時頃に行ってみたが、それでも30分ほど入場待ちがあった。34年ぶりの日本での個展&連休中の開催ということもあり連日大盛況のようだ。我々世代より上が多いかなと思っていたが、若い人も同じくらい来場していた。
シド・ミードと言えば私の中では『ブレードランナー』のイメージが強い。ネオン広告がゆらめく、退廃的でありながら無機質さを感じる都市の映像。1980年代に、あの世界をイメージだけで創り出したのはすごいと思う。「ビジュアル・フューチャリスト」とか「未来を透視してきた」とか言われているが、本当にその通りで、シド・ミードの作品はまるで見てきたかのようなリアル感がある。
日本で有名なシド・ミードデザインといえばヒゲガンダムこと『∀ガンダム(ターンエーガンダム)』だろう。
従来のガンダムシリーズとあまりにも異なる外観故に、ヒゲみたいでカッコ悪いとか、股間にコックピットがあってヤダとか視聴者の評価は散々だったようだが、シド・ミードは内部構造の設計をイメージした結果このデザインにたどり着いたらしい。
不評なコックピットの位置は、人型のものが内部に人を擁する場合に一番安全な場所は子宮である…という理由から決定したとのこと。アニメだからといって外観だけを見た目良く描くのではなく、リアリティを追求し内部高構造までイメージしながら創られたデザインだということを知り、∀ガンダムに尊さを感じるようになった。
同じくアニメの『YAMATO 2520』の戦艦のデザインも展示されていたが、こちらもすごかった。外観イメージより先にきっちり書き込まれた内部構造の断面図が送られてきて制作スタッフが愕然としたという逸話もシド・ミードらしいと思った。大人の事情で頓挫してしまったのが惜しまれる。
シド・ミードは、まだ見ぬ未来をリアルに細部にわたるまでイメージすることができる妄想力と、頭の中にあるイメージをそのまま描き出すことができる画力を併せ持っている稀な人物なのだと思う。そしてきっと「ここに動力があって…ここにはミサイルを格納するんだ…」とワクワクしながら制作しているに違いない。そうでなければこんなにも私達をワクワクさせる世界を描く事はできないと思う。
シド・ミード展は、2019年5月19日(日)まで。SF好きには強くオススメしたい展示。
2019.5.8投稿