『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』感想
映画おさめとして『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』をななちと観てきた。私の高校時代の友達もななちの友達も絶賛&おすすめしてくれたので世代を超えて楽しめるのだろうと二人で観に行くことにしたのだ。
あらすじと世界観
舞台は昭和31年の日本。血液銀行に務める水木は、日本経済を牛耳る龍賀製薬とコネをつくろうと龍賀製薬の拠点、哭倉村を訪れる。その道中、水木は妻を探しているという長身の不思議な男(目玉おやじ)と出会う。二人は村でおこる怪奇事件巻き込まれていく中で、龍賀製薬のおぞましい秘密を知ることになる。
『ゲゲゲの鬼太郎』は1960年代から2010年代にかけて6回ほどアニメ化されている。今回の映画は猫娘の絵柄が大きく変わった(美少女お姉さんになった)ことで話題になった第6シリーズ(2018年スタート)の世界観に基づいている。
辛辣な社会風刺
第6シリーズは人間の傲慢さや卑劣さを絶妙に胸糞悪く描いた社会風刺色が強い作品が多かったが、今回の映画もその傾向が感じられた。閉ざされた村社会で行われる悪しき因習、利権を守るために手段を選ばない大人とその犠牲となる子供たち、そして引き際を悟れない老害の象徴みたいな時貞。程度の差こそあれ、今の社会に通ずるものがあった。
おじさんバディもの
閉鎖的な村で跡目争いに関連した連続殺人事件が起こるという『犬神家の一族』や『八つ墓村』を思わせる暗鬱な導入だが、ストーリーが進むにつれて少年漫画っぽいアクションシーンが増えてくる。水木とゲゲ郎(目玉のおやじ)が人と妖怪の垣根を超えて友情を築いて良いバディとなっていく過程が今風に言うと「尊い」。人気の理由はこの辺りにありそうだ。
関さんがかっこいい
私の中の関俊彦さんのイメージは『天空戦記シュラト』のシュラトや『忍たま乱太郎』の土井先生、『YAWARA』の松田耕作など熱血お兄さんのイメージなのだが、ベテラン声優となった今はテンションも声も低めのラスボス的な役柄が多い。(鬼滅の無惨とか。)しかし今回はダブル主演のうちの一人、ゲゲ郎ということで高めのボイス&熱血シャウトあり。古参の関さんファンとしては懐かしい&嬉しかった。
エンドロールも注目
映画のエンドロールでは、村を出て記憶を失った水木のその後の物語が『墓場鬼太郎』につながる形で描かれている。小ネタが散りばめられているので最後まで必見だ。
きまぐれ映画レビュー
2023.12.29投稿