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シン・ウルトラマン感想

シン・ウルトラマンをみてきた

久しぶりに映画館へ出かけた。最後に映画館に行ったのは例の絶叫上演の『バーフバリ』の時だから、3年半ぶりだ。新型コロナウィルスの流行以降、元々出不精だったのに更に出不精になってしまったというのもあるが、映画とポップコーン&コーラがセットになっている私としては飲食ができない映画館には行く気にならなかったというのが大きい。

最近は飲食OKになったと聞いたので前から気になっていた『シン・ウルトラマン』をみてきた。予想はしていたが、観客の9割近くが大人であり、子供はほとんどいなかった。

©2022「シン・ウルトラマン製作委員会」

ウルトラマンは子供の頃に再放送を見たくらいのレベルですごく好きという訳ではないが、鳥山作品にちょいちょいネタが出ていたのでバルタン星人やピグモンくらいの怪獣は知っているし、最後の敵がゼットンだという程度の知識はある。そんな「一般的な40代女性と比べると多少ウルトラマンを知っている」レベルの私の感想を『シン・ウルトラマン』をより楽しむためにおすすめの本を交えながら述べていく。

ウルトラマンへの愛を全力で叫ぶアツイ二次創作

感想を一言で言うと「ウルトラマンへの愛がすごい」だ。「僕の大好きなウルトラマン、かっこいいでしょ!尊いでしょ!」という制作陣の声が副音声で聞こえてくるような気すらした。ふんわりと知っている程度の私でも「ここは初代ウルトラマンへのオマージュなんだろうな」と察するシーンがいくつかあったので、ウルトラマン好きな人にとってはファンサービスに溢れた作品だったに違いない。そんな散りばめられた小ネタを私も見つけ出したいと、初代のウルトラマンを見直す人も多いのではないだろうか。(私もついついウルトラサブスクに入会してしまった。)

フルCGなのに特撮っぽい不思議な映像

ウルトラマンのかっこいい戦いを今の最新技術で描きたい!という熱い思いが、フルCGの、美しい滑らかな背中のウルトラマンを創り出した。でも描きたいのはあくまで「少年の頃にみたあのウルトラマン」だったのだろう。その結果、フルCGなのに特撮感がある映像となっている。怪獣(禍威獣)との戦いも、昔みたいにミニチュアの中でプロレスしてる?と思わせるような映像で、特撮特有の「本当の人間が戦っている生々しい感じ」があるのだ。これってすごいことだと思う。必殺技であるスペシウム光線も人によってはなんかしょぼいCGだなと感じるかもしれないが、あれはわざとああしているのだと思う。やろうと思えばもっと迫力のあるかっこいい映像にできるだろうに、あえて当時の特撮っぽい感じを残している。最新技術を駆使した今風の演出は控えめにして、少年の頃にみたウルトラマンをかっこよくブラッシュアップすることに力を入れている感じで、そこに初代ウルトラマンへの大きなリスペクトを感じた。

予告PVにはだまされた

予告PVを見ると人間ドラマ中心の社会派映画のように見える。現代版ウルトラマンということで「科学特捜隊(科特隊)」が防災庁傘下の「禍威獣特設対策室専従班(禍特対)」になっているし、ザラブやメフィラスなどの外星人と交渉しているようなシーンも挿入されている。そのため『シン・ゴジラ』のようなものを期待して行く人(私もそうだった。)が多いのだと思うが、この映画はあくまで『ウルトラマン』である。もちろん人間ドラマも描かれているが、映画のメインテーマは禍威獣と闘うウルトラマンかっこいい!!なのだと思う。そのため、庵野秀明氏の作品だから『エヴァンゲリオン』のような重たいテーマ性がある作品だろうと期待していった人は「思ってたんと違う」となりがちなようだ。

そんな時は島本和彦先生の『アオイホノオ』を読んでもらいたい。『アオイホノオ』は、漫画家を目指す芸大生の青春コメディーで(しつこいくらいにフィクションであるとの但書はされているが)島本先生の自伝的要素をもった作品である。そのため大学の同級生である庵野氏も実名で登場する。ここに出てくる学生時代の庵野氏のエピソードを読むと『シン・ウルトラマン』は間違いなく庵野氏の作品だと納得できるし、モーションアクターの中に庵野氏の名前があるのも当然だと思えるはずだ。私は「ついに夢を叶えたんだね…」という親目線の温かい気持ちすら湧き上がった。

この『アオイホノオ』は柳楽優弥さん主演のドラマにもなっている。柳楽優弥さんは美少年俳優のイメージだったのだが、ドラマでの渾身の顔芸の数々に「超演技派でもあったのね…」と認識を改めた。

ゼットン…?!

これはネタバレになってしまうので詳しくは書けないが、ウルトラマンの最大の敵であるゼットンの設定が大きく変わっている。メフィラス星人も変わっていたが、その比ではない。あのゼットンを見て真っ先に頭に浮かんだのが柳田理科雄先生だ。

柳田先生は『ジュニア空想科学読本』の著者であり、アニメやマンガを読んでいてふと疑問に思うようなフィクションの設定(タケコプターで本当に空が飛べるのか等)を科学的に検証する子供向けの理科の読み物を執筆している。ななちが小学生の頃にどハマりし、我が家に結構な数のシリーズが揃っている。(今でも新刊が出るたびに買っている。)この『ジュニア空想科学読本』には度々ウルトラマンシリーズのネタが登場しており、おかげでウルトラマンを見たことがないはずのななちが何故かスペシウム光線の存在を知っているという不思議な事態が起こっている。

柳田先生はYahoo!にも「空想科学の研究レポート」という形でコラムを掲載している。そこに掲載された「54年前の今日、日本中の子どもが絶望した…!ゼットンの「1兆度の火球」のすごい威力とは?」という記事の中で「ゼットンが吐く1兆度の火球」の凄さを科学的に検証した上で「そんな温度であればゼットン自身が真っ先に蒸発しているはずだ」とつっこみ、実際に火球がもたらした被害が基地の窓ガラスを割って火事を起こした程度であることを「1兆度の無駄遣いにもホドがある!」と切り捨てている。この科学的ツッコミに応えた結果があのゼットンだったのだと思う。

またこれは完全に私の妄想だが、庵野氏的にも初代ウルトラマンとゼットンの戦いには納得いかないものがあったのではないだろうか。強くてかっこいいウルトラマンが、人間が作った新兵器(ちっさいピストル)一発で爆散するゼットンごときに負けるはずがない。ウルトラマンに匹敵する強さを持つゼットンは、もっと巨大で絶望的に強くて人間なんかじゃ全く太刀打ちできないような圧倒的存在でなければならない…そうした思いがあのゼットンを生み出したのかもしれない。

ポップコーンに釣られてふらりと出かけた映画だったが、今回は映画館でみて正解だった。ウルトラマンと禍威獣との戦いは、大きなスクリーンで見た方がより一層迫力を楽しむことができると思うので、迷っているならとりあえず映画館に足を運ぶことをおすすめしたい。そして『シン・ゴジラ』や『エヴァンゲリオン』に絡めた考察とか余計なことは考えず、童心に返り、ウルトラマンを応援しよう。

2022.5.23投稿

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