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『大どろぼうホッツェンプロッツ』(偕成社)

この本を読んだことがある人は割と多いのではないだろうか。あごひげを生やし、帽子をかぶった大どろぼうホッツェンプロッツ の物語だ。小学校の図書館には必ず置いてあるに違いない。

大どろぼうホッツェンプロッツに盗まれたコーヒーひきを、二人の少年カスパールとゼッペルが取り戻しに行く冒険物語である。タイトルはホッツェンプロッツだが、物語の主人公は実は二人の少年の方である。この本の魅力は何と言っても強烈な個性を持つキャラクターとテンポの良いストーリー展開にある。

まずキャラクターについて言うと「ホッツェンプロッツ」とか「ペトロジリウス・ツワッケルマン」という発音しにくい名前は、かえって強く印象に残るため、一度覚えたら忘れにくい。さらに大どろぼうのくせに実弾ではなくコショウピストルを使ったり、人間を鳥やカエルに変えるほどの魔力を持つ大魔法使いなのに、ジャガイモの皮は手剥きこだわったりしている敵キャラクター達は、悪党であることは間違いないのに、どこかユニークで愛嬌がある。

次にストーリー展開だが、こちらも実に秀でている。次から次へと物語が展開していくため、一つの章を読み終わっても、次の展開が気になり「あと一つだけ」「もう一つだけ」とついつい読み進めてしまう。小学生の頃、休み時間にうっかり図書館で読み始めてしまったことをひどく後悔したのをよく覚えている。(もちろん速攻借りて、家に帰って一気に読破した。)子供達二人が頭を使い、力を合わせて大人を出し抜くという点も痛快だ。

作者のオトフリート・プロイスラーは小学校の教師をする傍らアマチュア演劇やラジオドラマの脚本なども書いていたそうだ。この本を読んでいる時に感じる、まるで芝居を見ているかのようにその世界に引き込まれてしまうような感覚は、この本が喜劇的な要素を持っているためなのかもしれない。

2014.10.10投稿

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