絵本レビューとWwbと…

恩師

週末に恩師の容体が良くないとの連絡が来て以来、なんとなく鬱々としていた。今までご無沙汰していたのに、余命宣告を聞いたからといってノコノコ挨拶には行けないと静観を決意したものの、これで本当にいいのか…という思いもあった。

そんな迷いを先日友人に打ち明けたところ、長年お付き合いしてきたあなたがそう思うのなら、多分その決断は間違っていないと言われ少し心強く思った。そして、先日恩師がゼミの卒業生宛に書いたメッセージを見て、やはり決断は正しかったと思った。状況的には最悪なのに、あきらめている感じではなく、前向きなメッセージだったからだ。とても先生らしいと思ったし、お別れの挨拶みたいなことをしなくてよかったと思った。私のできることは、先生が穏やかに過ごせるよう祈ることだけだ。
自分の気持ちの整理のためにも、今日は恩師ついて書こうと思う。

大学では中東の歴史を勉強したいと思い、大学に入った時から専攻するゼミはアラブ社会を専門にしている恩師のゼミにしたいと思っていた。そのため、一年の時にも一般教養の一つとして恩師の授業を受講した。授業内容は面白かったが、話し方はぶっきらぼうだしなんとなく怖そうな教授だな…と思った。そしてテストも難しく採点もきびしかった…。

そして2年の終わりのゼミ説明会の時も、その教授は毎週レポートを出すとか3年生でも卒論と同等のジュニアペーパーを書かせるとか脅しをかけていた。メチャクチャ厳しそう…と思いつつも、やっぱりアラブ世界の研究がしたいと覚悟を決めてそのゼミに希望を出した。

そしてゼミの初日、かなりビクビクとしながら教室を訪れた。他のゼミと比べても圧倒的に人数が少なく、同学年の女子はたった4人だけ。まあ、あれだけ厳しそうな教授だから仕方ないだろう。そしてゼミの時間が始まり、例のコワモテの教授がやってきた…と思ったら別人のようにニコニコとして、にこやかに私達を迎えてくれた。そして簡単な自己紹介とゼミの紹介が終わると、そのまま歓迎飲み会へ。想像していたのとイロイロ大分違うんですけど??ととまどっている新ゼミ生に向かい、教授は「ゼミの人数増やしたくないから毎年脅しをかけてるんだ。」といたずらっぽい顔で話していた。

そんな訳で、恩師のゼミで過ごした2年間は本当に充実していたし、とても楽しかった。最初に宣言された通り、レポートもジュニアペーパーもあったけれど、好きなテーマだったので苦ではなかった。何より色々な方面において経験豊かな恩師の話は本当に面白く、特に飲み会の席で語られる若い頃の(当時は笑いごとではすまされないであろう)無茶した話は最高に面白かった。

卒業後も、OBの新年会に招いてくれたり、当時のゼミ友と一緒に食事へ出かけたりと懇意にしていただいていた。婚約したと話した時も「俺が相手を見極めてやるから連れてこい!」と食事によんでくださった。

5年前、ななちが生まれ、都内を離れてしまうと、時間的・距離的にも制約ができ、お会いする機会はめっきり減ってしまった。それでも年賀状や暑中見舞いなどで近況報告をすると、その度に丁寧にお返事をくださった。

ちょうど2年前の今頃、ゼミ友の展覧会のタイミングで久しぶりに恩師とお会いすることができた。少し痩せてしまっていたのもあり、会った瞬間年をとられてしまったなと少しさみしく感じたが、中身は快活な当時のままだった。PTAの役員になってしまったと愚痴る私に対し「そんな奴ほど、PTA活動にハマり『PTAこそ私の生きがい』なんて言うおばさんになったりするんだ。」「憂さ晴らしにブログでPTAの裏事情を発信したらどうだ?ドロドロした昼ドラもいたいな感じで。そしたら読んでやるよ!」なんてからかわれ、毒舌も健在だと安心した。そしてこの恩師の一言が、子育てに忙殺され一時中断されていたブログを再開するきっかけとなったのである。(しかし、本当にドロドロネタを書くわけにはいかないし、時間もいっぱいいっぱいだったので、実際に再開したのはPTA活動が一段落した後だったが。)

以来、このブログは筆不精の私の唯一の近況報告手段となり、今に至っている。それゆえ、ここ数日は全く書く気がおこらなかった。しかし、恩師は様々な逆境を乗り越え、後にそれを面白おかしいネタとして話し、周囲を楽しませてくださったなあと思い返し、気持ちが変わった。今回もそうしようと日々奮闘されているのかもしれない。

だから私も、恩師に倣おうと思う。これからも日々の生活の中で感じた様々なことを、なるべく明るく面白く、私を知っている人はもちろん、絵本レビューなどを通してたまたま立ち寄った方にも楽しんでもらえるように書いていきたいと思う。

2014.3.3投稿

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