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こぐまちゃんのどろあそび

『こぐまちゃんのどろあそび』(こぐま社)

水遊びと並んで子供達が大好きなのが水遊びである。小学校に入り、だいぶ落ち着いてきたが、幼稚園時代のななちは毎日のように園庭の砂場で泥遊びをしていた。入園当初はうまく丸められなかった泥団子が、日々の鍛錬のおかげで、卒園する頃には、カチカチでまん丸の団子が作れるようになった。

こぐまちゃんも泥遊びが大好きである。おかあさんから買ってもらったスッコップで穴を掘り、泥だんご作りを始めたこぐまちゃん。丸めたお団子をきれいに並べてご満悦で遊んでいると、しろくまちゃんがやってきて、並べたお団子を、楽しそうにぴょんぴょん跳ねながら潰していく。怒ったこぐまちゃんはしろくまちゃんに飛びかかり突き飛ばしてしまう。悪気はなかったとはいえお団子を潰してしまったことを素直に謝るしろくまちゃんに、突き飛ばしたことを素直に謝るこぐまちゃん。二人は仲直りして一緒に遊び始める。

なんてことはないお話のように感じられるが、最近はこうした子供同士の喧嘩や自然な仲直りがなかなかできなくなっているなあと感じることがある。原因は親の過干渉だ。まず喧嘩になる前に親が介入し、未然に防いでしまう。万が一喧嘩が起こった場合も、両方の親同士で謝り、子供はそれを真似してとりあえず「ごめんね」を言う。真似て言う「ごめんね」には、果たして気持ちは入っているのだろうか。

しろくまちゃんは、怒ったこぐまちゃんを見て、悪気がなかったとはいえ、自分がお団子を潰してしまったことがこぐまちゃんを傷つけたことを自分で理解し、謝った。また、こぐまちゃんは、しろくまちゃんには悪気はなかったことを理解し、怒りにまかせて突き飛ばしたことを悪いことだと理解し、謝った。どちらも一度相手の気持ちになって考え、反省しその上で「ごめんね」と言っている。これこそ気持ちの詰まった「ごめんね」だと思う。

親が謝ることが悪いわけではない。むしろ謝る姿勢を子供に示すことは大切だ。問題は、そこで終わりにしてしまうところにある。親が謝ったから、それでおしまいにするのではなく、相手の気持ちを思いやり、自分のどこに問題があったのかを子供自身に考えさせた上で、「ごめんね」を言わせることが大切なのではないだろうか。この絵本は私に、自然に心からの「ごめんね」が言えることの大切さを教えてくれた。

2013.7.2投稿

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