『ふたりはきょうも』(文化出版局)
今日紹介するのは、ローベルのがまくんとかえるくんシリーズの最終巻『ふたりはきょうも』だ。理知的でマイペースなかえるくんと、感情豊かで単純ながまくんのデコボココンビの何気ないけど愉快な毎日の最終章である。
「あした するよ」は無気力でダラダラモードのがまくんにかえるくんがやる気を出させようとするお話。頭脳派のかえるくんの作戦勝ちかと思いきや…思わずくすりと笑ってしまうオチがついてくる。
この他にも、バカにされてもあきらめず、工夫し挑戦し続けることの大切さを描いた「たこ」、かえるくんが子供の時の怖い思い出を語る「がたがた」、かえるくんの機知が光る「ぼうし」といったお話がある。
最終話の「ひとりきり」はがまくんの健気な姿がいじらしく、愛おしい、そして最後に心が温かくなるお話である。
ある朝、がまくんがいつものようにかえるくんの家を訪ねると、「ひとりきりになりたいのです。」との張り紙がある。森や野原を探し回り、やっとのことで川の真ん中の島に一人座り込んでいるかえるくんを発見したがまくんは、何かに悲しんでいるに違いないと思い込み、元気を出してもらおうと奮闘するが、もしや自分が原因なのではないのかと思い始める…。
ローベルが4巻を通して伝えているのは、何気ない普通の日々が、いかに得難く素晴らしものであるのか、ということだと思う。最終話のかえるくんの台詞、
ぼくは うれしいんだよ。とても うれしいんだ。
けさ めを さますと おひさまが てっていて、いい きもちだった。
じぶんが 1ぴきの かえるだ ということが、いい きもちだった。
そして きみという ともだちがいてね、それを おもって いい きもちだった。
という一節に、そうしたローベルの思いが凝縮されている。
昨日まで当たり前であった生活が、明日も続くとは限らない。戦争やテロが起こらなくても、地震や大雪といった自然災害が起こっただけで、どこまでも続いて行くように思われた日常生活はあっという間に寸断されてしまうのだ。
がまくんとかえるくん。この小さなデコボココンビは、穏やかに毎日を過ごすことができることに感謝し、幸せを感じることの大切さを教えてくれた。
2014.2.18投稿