
『教皇選挙』感想
連休最終日は『教皇選挙』を観に行った。
あらすじ
「公正さを保つ」という理由から、外部からの介入や圧力を徹底的に遮断して行われる「教皇選挙(コンクラーベ)」の舞台裏を描いた作品。前教皇から教皇選挙を執り仕切ることを託されたローレンス枢機卿。信仰とはかけ離れた権力争いに辟易しながらも職務を全うしようと真摯に取り組むが、厳格すぎる彼の性格により選挙戦は混迷してゆく。
重厚な人間ドラマ
教会・聖職者の在り方についての苦悩や思想の違いによる政治的分断など、重厚なテーマを暑かった人間ドラマで、派手な演出やアクションはないがかなり見応えがあり、あっという間に2時間が過ぎた。ミステリーという触れ込みだったがあまりミステリー感はなかった。強いて言うならば、前教皇が残したものから前教皇の意思をローレンス枢機卿が読み解いていく、という点にミステリ要素があると言える。
悩めるおじさま
日本にはあまり馴染みのないカトリック教(日本のキリスト教はプロテスタント系が多い)の儀式を描いた作品ではあるが、政治闘争の色合いが強いのでカトリック教の教義を知らなくても楽しめる。真面目すぎるためスキャンダルを許せず、結果的に有力候補を次々に潰してしまい苦悩するローレンス枢機卿に親しみを感じ、応援したくなる人は多いと思う。今風に言うと「悩めるおじさまは尊い」。ローレンスを演じているのは『ハリー・ポッター』でヴォルデモート卿役をつとめたレイフ・ファインズ氏。
判別が困難
教皇選挙であるため、メインの登場人物は枢機卿、そのほとんどがおじさま=シニア男性である。シニア男性であるため、毛髪での判別が難しい人が多い上に、皆おそろいのカーディナルレッド(緋色)の衣装に身を包んでいる。私が顔を覚えるのが苦手というのもあるが、登場するおじさまを判別できるようになるまでに時間がかかった。特にベリーニ枢機卿とレイ。(どちらも薄毛&メガネ)これから見る人は事前に写真付きの人物紹介を確認しておくことをお勧めする。
劇場はほぼ満席
予約した時はそんなに人が入っていない感じだったのだが、当日いくと満席に近かった。明日(7日)の午後から本物の教皇選挙が始まるので関心が高まっているのかもしれない。教会改革を進めたフランシスコ教皇の路線が引き継がれるのか、それとも自由化への反動から保守派が巻き返すのか。今頃バチカンでは映画で描かれていたような政治的パワーゲームが繰り広げられているのかもしれない。
きまぐれ映画レビュー
2025.5.7投稿