鳥山ワールド全開!『SAND LAND』
この夏公開した『SAND LAND』を見てきた。2000年に短期集中連載された鳥山明氏の漫画が23年の時を経てついに映像化されたのである。これは観に行くしかない…と公開後速攻で見に行った。
物語の舞台は魔物と人間が共存する砂漠の世界サンドランド。水不足にあえぐ町の人々を救うため、保安官ラオは悪魔の王子ベルゼブブとそのお目付役シーフと共に「幻の泉」を求めて旅に出る。水を求めて砂漠を冒険する中で巨悪の存在に気がつき、最終的にそれと戦うことになるというありがちでわかりやすいストーリー展開だからこその痛快な魅力があった。
これぞ鳥山ワールド
人間と異種族(魔物)が共存しているところも、鹿やクマみたいなノリで恐竜が出てくるところも「これぞ鳥山ワールド」といった感じでよかった。もちろんお馴染みのマキグソも出てくる。(今回はサボテンということになっていた。)世界観は『ドラゴンボール』よりも『Drスランプ』寄りだと思う。砂漠の悪党とのかけっこバトルはアラレちゃんを思い出させた。
じいさんが強くてかっこいい
とにかく保安官ラオ(61才)がシブくて強くてかっこいい。正義感が強く真面目なくせに豪胆で柔軟なところもある、ハードボイルド映画から飛び出してきたようなイケてるじいさんなのだ。『Drスランプ』の作者的主人公が則巻千兵衛であったように、この物語の主人公はこの保安官ラオなのだと思う。
鳥山メカが大活躍
鳥山明といえばメカである。デザインはユニークなのに嘘っぽくなくてリアリティがあるのが魅力だと思う。今回の活躍する戦車もペンギンをモチーフにした丸っこいデザインで外観はとてもかわいい。その一方で内部は無骨で狭さや機器の並び方などはリアルでかっこよかった。
アクションバトルも
ロードムービー要素が強い映画だが、もちろん『ドラゴンボール』的なアクションシーンもある。ベルゼブブのバトルシーンは「ザ・少年漫画」といった感じでとにかく痛快。残虐な描写はないので小さな子も楽しめると思う。
子供と見てほしい
最近の少年ジャンプ系列の映画はストーリーが重かったり、鬱展開だったり、グロ描写があったりと「本当に少年向け?」と感じるものが多いが『SANDLAND』は安心&安全な少年映画だと言える。ストーリーは明快、グロ描写なし、幼稚園生でも楽しめると思う。同時に、かつて少年の心を持っていた大人も楽しめる映画である。子供達はやんちゃで強いベルゼブブのバトルに、大人はイケおじのラオの活躍に夢中になるだろう。ぜひ親子連れで見に行って欲しい。
入場者特典もめっちゃくちゃ豪華だったので見て欲しい。
「スーパードラゴンボールヒーローズ」のコラボカードと
鳥山明描き下ろしイラストのアートボード。この素晴らしいイラストボードが無料でもらえるってすごくないですか。(額に入れて飾った。)
夏休み中に観に行ったにも関わらず、思った以上に子供の観客が少なかった。23年前の漫画なので知名度が低いというのと、主人公がじいさん&悪魔という変わった組み合わせなので子供への訴求力が低いというあたりが影響しているのかもしれない。でも今時珍しいくらいに明るくて爽快な映画なのでぜひ『ドラゴンボール』で育った親御さんは子連れで見に行って欲しい。
きまぐれ映画レビュー
2023.9.1投稿