バーフバリの絶叫上映にいってみた
この前の連休中、地元の映画館で『バーフバリ 王の凱旋』 の完全版を上映していたので行ってきた。ちょっと前にHuluで『バーフバリ 伝説誕生』を観て「なんだこれは…!!」と衝撃を受けたばかりだったので、その続きはぜひ映画館で観たいと思っていたのだ。
その日はたまたま「絶叫上映」だった。聞いた話によると、「絶叫上映」とは、みんなで声を出して盛り上がって楽しむ上映スタイルとのこと。歌舞伎で合いの手をいれるみたいな感じかなあなんて軽い気持ちで行ったのだが…予想をはるかに上回る熱量だった。
劇場に着くと、劇場スタッフの皆さんはインドの民族衣装に身を包んでいる。鑑賞者の中にもサリーを羽織っていたり、バーフバリのお面を持っていたりするガチ勢の方々が。これは私もビンディくらいつけてきた方がよかったのか…?と思うほど。
劇場入り口では、タンバリン、マラカス、鈴など鳴り物の貸し出しを行っていた。
「皆さんで王を称えましょう」とのメッセージ。
スタッフが描いたという王と王妃の肖像画もあり、深いバーフバリ愛を感じた。
開場され、席に着くと有志の方々が「どうぞお使いください!」とクラッカーを配っていた。映画館でクラッカー??鳴らすの??と驚いていると、民族衣装に身を包んだスタッフの方が鑑賞時の注意事項を説明。
「ペンライトやサイリウムは座ったままご使用ください」
「クラッカーは他のお客様の迷惑にならないよう上方向に向けて鳴らしましょう」
「王を讃える時は、右手で胸を二回叩きながら『バーフバリ ジャイホー!!(バーフバリ万歳!!)』と叫びましょう。」(予行練習あり)
「それでは皆さんで王の凱旋を称えましょう!」
そうか、ここはマヒシュマティ王国だったのか。(納得)これは一体どんな上映になるのだろうとワクワクしていると、映画スタート。開始数十分で早くもクライマックス級の盛り上がりを迎えると、タンバリンやマラカスが盛大に鳴り響き、クラッカーがパンパンと鳴る。
なにこれ、楽しい。
その後も、デーバセーナが踊る場面では「かわいい!」との歓声があがり、甘いラブシーンでは冷やかすように「ヒューヒュー!」と声があがる。そして王を称えるシーンでは「バーフバリ ジャイホー!!」の掛け声と共にクラッカーが盛大に鳴り響く。かと思えば、悲哀のシーンになると場内はシーンと静まり返り、涙を流す人も。ものすごい一体感だった。
上映終了後には盛大な拍手が沸き起こり、多くの人が笑顔になって退場していった。私もしばらく高揚感が続き、無意識のうちに「バリバリバリバーフバッリッ!」と口ずさんでしまうほど。(サントラは全て一度聞いたら忘れられない系。)
初めての絶叫上映だったが、本当に楽しかった。そして、初めての絶叫上映体験が、バーフバリであったことはとても幸運だった。映画館のスタッフの方々&クラッカーやサイリウムを配ってくださったマヒシュマティ王国民の方々のおかげで、なかなかできない体験ができ、感謝でいっぱいである。
それにしても、どうしてバーフバリはこんなにも人を惹きつけるのであろうか。バーフバリは至極わかりやすい、典型的な英雄譚で、ストーリー的にはほぼ予想通りの展開をする。ただ、その描き方がすごいのである。
風景はびっくりするほど色彩鮮やかでファンタジー的だし、マトリックスのようにスローモーションを多用したアクションは予想の斜め上をいく動きをするし、エクストラの人数も半端ないし、登場人物の個性も強烈。中でも主人公のバーフバリは、王というよりほぼ「神」だ。最初は「えええ?!」とツッコミまくりだったのに、そのうち「王すごい」となり、最後は「バーフバリ!バーフバリ!」とすっかり魅了されてしまう。
バーフバリは何十万本という矢が雨のように降ってきてもほぼ当たらないし、4、5本胸に矢が刺さったところで倒れることもない。走れば馬よりも早く、どんなに高いところから飛び降りても、足をくじくことなく華麗なスーパー着地を決める。戦場では戦国BASARAのように敵を蹴散らし、どんなピンチに陥いろうとも、誰も思いつかない(&フツーできない)ような戦略で打開する。そんなシヴァ神のような強さを持ちながらも、基本的に不要な殺生は好まず、母や妻、民への思いやりに溢れている。
そうした強烈なカリスマ性を持った完全無欠のヒーローだからこそ、場内の鑑賞者もマヒシュマティ王国の民のように、王の偉業に敬服し、王の凱旋に歓喜するのだと思う。我々一般的な人間には到底できない事を平然とやってのける、そこにシビれる、憧れるッというわけだ。
そして神のような王が、超絶ありえないパワーを使って、我々人間のもつ嫉妬、傲慢、猜疑心といった業を、炎と水とで次々に浄化していく姿にカタルシスを感じる。リピーターが続出し、超ロングセラーになっている理由はこの辺りにあるのではないだろうか。
色々と書いてきたが、言いたいことはただ一つ。以前バーフバリを勧めてくれた友人の言葉を借りていうと
「とにかく観て。すごいから。」
きまぐれ映画レビュー
2018.9.20投稿