『はがぬけたらどうするの?』(フレーベル館)
抜けた歯を枕元に置いて寝ると、夜に妖精がやってきてプレゼントと取り替えてくれる…と言う話を友達から聞いて以来、歯が抜けるのを楽しみにしているななち。私は今まで聞いた事がなかったが、ヨーロッパの習慣に基づくものらしい。
日本は屋根や縁の下に投げる、ヨーロッパはプレゼントと取り替えてもらう。他の地域にも乳歯にまつわる習慣があるのかな…と調べていたら、ちょうど良い本を見つけた。『はがぬけたらどうするの?―せかいのこどもたちのはなし』という絵本だ。世界中の64の国や地域から集めた、乳歯に関する風習や言い伝えを紹介している。
絵本によると、ヨーロッパやアメリカでは、妖精やネズミにプレゼントに変えてもらうというのが主流であるのに対し、それ以外の地域では投げる、というのが多かった。例えば、エジプトやリビア、中近東では強い歯が生えるよう祈りながらおひさまに向かって投げるらしい。日差しが強い国らしい習慣だと思った。
また、日本のように下の歯は上に、上の歯は下に、と歯の生える方向に向かって投げるという風習は、中国、シンガポール、ベトナム、カンボジアなど、東アジアに特徴的なものだった。
他にも川に流したり、埋めたり、イヤリングやペンダントに加工する地域もあった。世界中の様々な国や地域で、子供たちの抜けた乳歯は、様々な形で祈りと祝福を受けている。環境や宗教、価値観は大きく違っていても、子供の健やかな成長を願う親の気持ちは世界共通なのかもしれないと感じた。
2016.5.12投稿