劇場版ムーミン『南の海で楽しいバカンス』
今日は午前中の仕事がなくなり、久しぶりに一日完全OFFになった。これは神の思し召しに違いないッ!…と、かねてより行くタイミングを図っていた、劇場版ムーミン『南の海で楽しいバカンス』を観に行った。ドラゴンボールは一人で行けないが、ムーミンなら…行ける…ッ!でも、ちょっぴり恥ずかしいので、予告CMが始まって館内が暗くなってから1番端の座席に座る。自分のためだけに、一人だけで映画に行くなんていつ以来だろう…。もしかしたら、学生時代以来かもしれない。
劇場版ムーミンは、トーベ・ヤンソン生誕100周年を記念して、フィンランドで製作されたもの。 ムーミン一家が、ムーミン谷を飛び出し、南の海の街「リヴィエラ」へとヴァカンスへと出かけるというストーリーだ。
ムーミン一家が谷を飛び出すというストーリーは、原作の『ムーミンパパ海へいく』を彷彿とさせる。谷を飛び出し、孤島の灯台で暮らし始めたムーミン一家の間に歪みが生じたように、今回のストーリーでも仲良し一家の間に歪みが生じる。憧れの都会暮らしを満喫するフローレン、新しい友人を得て日々楽しく過ごしているパパに対し、ムーミンとムーミンママは贅沢で華美な生活に馴染めず、ホテルを出て浜辺のボートで暮らし始める。この辺りの流れも、ムーミンママがホームシックにかかり、灯台の壁にムーミン谷の絵を描いて一人の世界に閉じこもってしまう『ムーミンパパ海へ行く』に通じるものがある。
環境の変化による家族のすれ違い…その中で改めて感じる、当たり前だと思っていた平穏な日常の尊さ。ドタバタ劇の中にも、そうした深いテーマが流れていると感じた。
声優陣は、高山みなみさんや大塚明夫さんなど、日本のテレビ版「楽しいムーミン一家」でおなじみのメンバーだ。子安スナフキンをまた聞けるなんて…!と歓喜したのも束の間、今回はお留守番組だったのでほとんど登場せず。(この辺りも『ムーミンパパ海へ行く』と同じ。)
吹替えキャスト:
★ムーミン:高山 みなみ
★ムーミンパパ:大塚 明夫
★ムーミンママ:谷 育子
★フローレン:かない みか
★ミイ:佐久間 レイ
★スナフキン:子安 武人
原作のイメージを忠実に再現したフィンランドのアニメーションであり、子供向けに製作されたものでもないので、毒やブラックな部分も多々ある。この邦題も少し微妙だ。英題は「MOOMINS on the Riviera」であり、楽しいなんてどこにも書かれていない。(実際、ムーミンにとっては全く楽しくない日々である。)タイトル通りの子供向けアニメーションだと思って行くと、ちょっとびっくりしてしまうかもしれない。この劇場版ムーミンの本当の面白さと魅力は、大人でないとわからないかもしれない。
きまぐれ映画レビュー
2015.2.19投稿