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『葉っぱのフレディ』(童話屋)

3年ほど前、祖母からプレゼントされた絵本である。まだ難しいかもしれないけれどいい本だったから大きくなったら読んであげて…と私に渡してくれた。今から思えば、祖母は私にこそ読んでもらいたかったのかもしれない。

春に生まれた葉っぱのフレディは、仲間と共に成長し、風にそよぎ、木陰を作ったり、紅葉して人々の目を楽しませたり…と「葉っぱに生まれてよかったな」と思いう楽しい日々を送る。やがて冬が訪れ、フレディはすべての仲間と自分に死が訪れることを知る。自らの短い生にどんな意味があったのかと悲しむフレディに、親友のダニエルが静かに諭す。葉っぱとしての役割を果たし、生きてきた時間の素晴らしさ、そして脈々と受け継がれていく「いのち」のかけがいのなさを。フレディが最期の時を迎え地面に落ちた時、初めて自分のいのちをつくった木の姿を見る。そのたくましい姿にいのちの永遠性を感じ、心安らかに眠りに入る。そしてフレディは土にかえり、木を育てる力となっていく…。

小さな子供であっても、漠然と「どうして人は死ぬのだろう」といった疑問は持っている。思春期の頃「いずれ死ぬと決まっているのに、なぜ今頑張って生きねばならないのか」と思い悩んだ人も多いのではないだろうか。この絵本は、誰もが一度は考える「生の意味」について、わかりやすい言葉で語りかけてくれる。

「死ぬというのも、変わることの一つなのだよ。」というダニエルの言葉は「死は変化の一つにすぎないのだから、恐れることはない」と「生の価値」を軽んずるようにも聞こえるが、私はその逆であると思う。

死は生あるもの全てに訪れる変化の一つにすぎないが、生まれて死ぬまでの時間をどう過ごすかは、その人自身に委ねられるものである。一緒に生まれた同じ木の葉であっても一枚一枚色づき方が違うように、その人の生き方次第で与えられた生はいかようにもなる。だからこそ、生きていることのすばらしさと自覚し、その生を精一杯生きて、自分の役割を全うすることが大切である。そして役割を全うした生は、脈々と次の世代に受け継がれていく。そうした「生の尊さ」をこの絵本は語りかけているのだと思う。

2013.3.30投稿

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