絵本レビューとWwbと…

病みキャラ考

友達の影響か、昨年あたりからよく絵を描くようになったななち。ロボットみたいな四角い体の直立姿勢の人しか書けなかったのに、柔らかく、動きのある人の絵がかけるようになってきて「成長したなあ!」嬉しく思っていたのだが、最近若干方向が偏りつつある。羽が生えていたり(しかも一枚だけ)、眼帯をしていたり、背中からなんかびよびよとしたものが出ていたりするのだ。

これはもしかして巷でよく聞く「黒歴史ノート」と呼ばれるものではないのだろうか。思春期の頃に作られ、大人になってから見返すと悶え死にたくなるようなこっぱずかしい内容が書かれた痛いノート。最近ボカロ系の音楽ばかり聞いているし、ななちもゆるゆると中二病を患い始めているのかもしれない。

そんなななちが先日「明日までに病みキャラを描いてくるというお題が出たんだけど、どうやったら病みキャラっぽくなるかなあ」と聞いてきた。そんな恥ずかしい質問を堂々としてくるあたり、中二病もまだまだ序の口よの…などと思いつつ、指南を仰がれたのならば頑張って応えてみようと私なりに考えて描いてみた。

とりあえず目は中二病キャラ王道の赤。すわった感じにするため、ハイライトは小さめにして虹彩の上の方は黒っぽく。瞳孔は猫っぽい感じに少し縦長の楕円にした。口元は薄く笑った感じにし、髪型は「自分で衝動的にハサミで前髪切っちゃったメンヘラ感」を出すため斜めのぱっつんにしてみた。

早速ななちに見せてみたところ「サイコパスっぽい!ヤミキャラはヤミキャラでもこれは闇キャラの方だよ」と。

なにぃ…。そんな違いがあるのか…。

「しかもなんか髪型とか、輪郭とかななちゃんに似てるし!」

うーん。自由に描いてって言われると、無意識的に知ってる顔に似てしまうんだよね…。

「将来ななちのツイッターの裏垢のアイコンとかに使ってくれてもいいよ!」と言ったら

「使わないよ!」

と言われてしまった。

「病みキャラ」ではなく「闇キャラ」になってしまったが、これはこれで気に入ってもらえたようなので無駄にはならなかった。(すわった目の描き方などは参考になったそうだ。)

それにしても「病みキャラ」なんてものがアニメの中に出てきて定着したのはいつぐらいからだろう。ぱっと思いつくのはエヴァンゲリオンだが、ガンダムのカミーユもアムロも病んでるといえば病んでいるような気もする。

「私たちが知ってる一番古い病みキャラってだれだろうね?」と夫に聞いてみたところ

「…クララ?」

ああ、確かに。幼少期から歩くことができず車椅子生活&両親離婚という、明るく幸せとは言い難い生活を送ってきたクララは、確かに鬱々とした雰囲気をもっている。しかし「病んでいる」というレベルではないような気がする。むしろハイジの中では真っ黒い過去を持つアルムおんじとか、ペーター(原作)の方にこそ、深い病み要素があるような気がする。

思い返してみると、文芸作品の中には昔から病みキャラが多く登場している。太宰治や芥川龍之介、夏目漱石など、いわゆる純文学と呼ばれる作品の主人公はどこか病んでいるし、作家自体も若干病んでいたりする。遡れば、紫式部の源氏物語などは、主人公を始め、病みキャラ祭りの作品だと言える。

人には「自分には理解できない異質な存在に対して恐怖を抱きながらも、好奇心を掻き立てられてしまう」という部分がある。猟奇的な事件が起こった時にメディアがそれでもちきりになるのも、フィクションの世界で「病みキャラ」が人気なのも、理由は同じくこのあたりにあるのかもしれない。

2018.6.7投稿

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