『名馬キャリコ』(岩波書店)
今年は午年ということで、馬が大活躍する絵本を紹介。バージニア・リー・バートンの『名馬キャリコ 』は、タイトル通り、賢くて犬のように鼻がきき、足もとびきり早い名馬、キャリコの物語である。舞台は西部開拓時代を思わせる、カウボーイ達が活躍するサボテン州。平和でのんびりとしたこの町に悪党たちがやってくるところから物語は始まる。
悪党の親玉は黒くて長い巻きひげの「すごみやスチンカー」、率いる仲間も「ばらしやボーンズ」「ヘビの目パイゾン」など、いかにも悪そうな名前で、悪そうな顔をしている。牛を盗み出したり、荷馬車を襲おうとする悪党たちを、キャリコが頭と自慢の足を使って懲らしめる勧善懲悪ストーリーは読んでいてとても痛快で、ななちも楽しんでいた。賢く勇気あるキャリコに対し、優しく人の良いカウボーイのハンクは少し頼りなく見えるが、ハンクの機転と寛大さのおかげで物語は大団円を迎える。
版画で描かれた絵はモノトーンであるにも関わらず躍動感があり、表情豊かである。絵も物語も美しい、実に気持ちの良い絵本である。
2014.1.14投稿