二児の母体験
今週のはじめ、義妹が尿路結石のため入院することになってしまい、急遽姪っ子をわが家で預かることになった。姪っ子はわが家に一度泊まったことはあるが、その時はママも一緒だった。果たして一人であまり馴染みのないわが家に一人で泊まることができるのだろうか…と心配だったが、ななちの学校がある以上、私は家を離れることはできないし、かといって母が実家で一人でお世話するのも体力的に無理だろう。(パパである弟は絶賛海外赴任中…。)そんな訳で、姪っ子を膝に抱きながら「ママが元気になるまでななねーちゃんちで遊んで待ってようか?」と尋ねると「あそんでまってるー!」と素直についてきてくれた。自我が芽生え始め、イヤイヤ期真っ盛りの姪っ子だが、ママの辛そうな様子はしっかり理解しているようだった。
ママと離れている寂しさを少しでも忘れられるように…と、とにかく一緒に遊ぶようにした。ななちと違い女子力高めの姪っ子は、おままごとやお買い物ごっこが大好き。ちなみに二歳のななちはトーマス&プラレールブームだった。朝七時の始発電車から、一日中プラレールの音を聞いて過ごしていたなあと思い出しつつ、同じ年頃の子供でもこんなに興味の対象や遊びが違うんだなあということを感じた。
一方で共通する部分もあった。一つは泥遊びが大好きなことだ。子供によっては汚れるのを嫌がる子もいるようだが、姪っ子は手をドロドロにしながら、容器に泥をつめて型抜きケーキを作り、水を加えて作った泥水チョコレートをかけるというパテシエごっこに夢中だった。
もう一つは絵本である。寝る前に、ななちが小さい頃大好きだった『がたん ごとん がたん ごとん』を読んであげたら大喜び。「もういっかい」と何度も何度もせがまれた。シンプルな言葉の繰り返しが生む優しいリズムと、素朴でかわいいイラストが魅力の絵本だ。
とにかく遊んで高いテンションに保つことでなんとか一日目は乗り切れた。びっくりするくらい機嫌良く、夜泣きなどもしなかった。しかし、二日目はやはりきびしかった。病院に行ってママと会い、一緒に楽しくお昼ごはんを食べた後、「もう一日だけがんばろうね」と連れて帰ったが、寂しいのを必死で我慢しているのが伝わってきた。帰り道はずっと抱っこだったし、昨日は自分で食べていたごはんも、食べさせてあげないとなかなか進まなかった。楽しく遊んでいるかと思ったらふと「ママあいたい」とポロリと涙を流したり。そしてそれを必死でふりはらうようにしてまた遊んだりする姿はとてもいじらしかった。
そして夜。自分で折りたたみ式の踏み台を開こうとして指を挟んだ時、今まで我慢していたものがぷつんと切れたようで「ママあいたいよー!!!」とわんわんと大泣きを始めた。やはり相当我慢していたようだ。母親を恋しがって涙する子供の姿を見るのは辛いものだ。ななちも、手伝いに来てくれていた母も心を痛めていた。
「そうだね、あいたいね。明日また会いにいこうね…」となだめながら抱っこすること30分。姪っ子は泣き疲れて眠ってしまった。私が離れるとそれを敏感に感じ取って夜泣きを始めるので、その夜は姪っ子の枕元で仕事をした。寝返りのタイミングで微妙に覚醒し、泣き出しそうになるのを、トントンして寝かしつける…昔は毎日こんなことしてたなーと懐かしく思うと共に、今は随分楽になったものだとななちの成長を感じた。
翌日、退院した義妹の元へ姪っ子を送り届ける。笑顔でママに抱きつく姿を見て、無事に任務を完遂できた…とホッと気が抜けた。姪っ子には試練の二日間だったが、大きな成長を遂げたのではないかと思う。
二日間の二児の母体験を通して、ある程度の年の差があれば、上の子がお世話を手伝ってくれるから育てやすいのかもしれないと思った。実際、ななちは姪っ子と遊んでくれたり、トイレの声かけをしたりとかなりお世話をしてくれた。しかし一方で、年の差があると生活リズムが違いすぎるのでつらいということも感じた。今回は母がヘルプに来てくれ、ななちの習い事の送迎をしてくれたからその辺りの問題はなかったが、世の中の多くのお母さん方は下の子を連れて習い事に行ったり、下の子の世話をしながら勉強をみたりなんてことを毎日しているのだろう。ほんとにすごいなあと思う。
ななちにとっても、今回の年の差お姉ちゃん体験はいい刺激になったと思う。「姪っ子ちゃんがママいないのに頑張ってるから、ななちもなんかママに甘えられなかったよー。」とベタベタ甘えてきたのには若干参ったが(30キロ越えのななちを膝にのせるのはほとんど石抱きの刑…。)、そんな気遣いができるようになったのは嬉しいと思ったし、何より本当によく面倒を見てくれたので、満足するまでお膝抱っこをしてあげた。
2017.6.2投稿