『わすれられないおくりもの』(児童図書館・絵本の部屋)
私がこの絵本に出会ったのは、高校生の時だ。入学したてで友達もできず、新しい生活に不安を抱えていた時、中学時代からの友人がプレゼントしてくれたのだ。読み進めるうちに、涙がポロポロと落ち止まらなくなり、最後は顔はぐちゃぐちゃだが、温かい気持ちになった。自分の「生」は一人だけのものではない。周りの人にも深く関わるものであり、その存在は死後も思い出の中に残っていく。だからこそ、人はその人生を精一杯生きなければならないのだ。アナグマはその生を悔いなく懸命に生きたから、足どり軽くトンネルを走っていけたのだと思う。
絵本といっても、これは大人向きの絵本だと思う。作者も、子供たちに読み聞かせることを通して、大人にも読んでもらいたい思っているのではないだろうか。ななちにはまだ少し難しいかも…と思い、実はまだ読み聞かせたことはない。正直なところをいうと、最後まで読み聞かせる自信がないので、もうちょっと大きくなってから自分で読んで欲しいと思っている。
大好きだった祖母が、この春トンネルへと旅立ってしまった。祖母が残してくれた沢山のおくりものを、ななちやその子供たちに受け継いでいけるよう、私も日々懸命に生きていきたい。
2012.11.21投稿