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eneloopの新デザイン

パナソニックがニッケル水素電池「eneloop」と「充電式EVOLTA」の新製品を2013年4月26日から発売するというニュースが流れた際に、衝撃を受けたeneloop愛用者は少なくないはずだ。私もその一人である。これまで電池本体の中央部に大きく描かれた「eneloop」の文字に代わって「Panasonic」のロゴが大きく描かれた新デザインは、あまりにも「がっかり」な代物であった。

2005年に三洋電機から販売された「eneloop」。「環境面だけでなく、本当に役に立つこの充電池の魅力を主婦や若者、幅広い層に伝えたい」という思いで開発された製品で、新たな購買者層を獲得するためにデザインもこだわったという。

eneloopのデザインを担当した水田一久氏は、その時のデザイン・ワークについて

「パッケージの青がGAIA(地球)をイメージした色に対し、eneloopの白は命をイメージした色になります。パッケージ(青、地球)の中に包まれてい るのは、大切な命(白、eneloop )のようなイメージで白が採用されています。」(出典:MEMO by tdp / <behind theproducts> 使い切る生活から、くり返し使う生活へ、eneloopというデザイン)

と語っている。

水田氏こだわりのeneloopの青いパッケージについては販売前に「電池だとわかりにくい!」との反対がありもめたそうだが、最終的には「自分の立場だけから見た独りよがりのメリットではなく、消費者から見たメリットをメンバーみんなで追求していく」というプロジェクトの「掟」を尊重し採用された。その結果の大当たりである。購入後すぐ使えるという利便性に加え、今までの電池にない新しいデザイン。2012年度の売り上げ実績は1,800万本、現在世界60カ国以上で販売されるグローバル商品の地位を獲得した。

我が家も販売直後から第二世代、第三世代と愛用しており、プラレール、wiiリモコンなどのおもちゃ系全てにeneloopを使用している。「電池なんて使ってる時は中身は見えないじゃないか。」という声もあるかもしれない。だが、デザイン性が高いからこそ愛着がわき、手間をかけて充電し、また使おうという気分になるのだと思う。

それに対し、今回のeneloopのデザイン変更は、パナソニックが消費者の立場よりも自社のブランド戦略を優先させた結果だとしか思えない。
現在パナソニックは、ブランド戦略を「Panasonic」に統一、集中させる方向で動いているという。パナソニックのブランドメッセージであった「ideas for life」と環境活動を示す「ecoideas」の表示すら廃止してしまうほどの徹底ぶりだ。そうした流れでいくと、三洋電機を買収したことにより手に入れた一製品に過ぎない「eneloop」を自社製品の全面に出すなど許されないことだったのだろう。

だが、日本の大手一流企業であるという自負があればこそ、その懐の深さを見せて欲しかったと悔やまれてならない。環境保護活動を幅広い層に浸透させたいという開発者の思いや消費者の製品への愛着をきちんと尊重して欲しかった。

8年の歳月をかけて築き上げられた「eneloop」ブランドへの敬意をパナソニックは払うべきではなかったのではないだろうか。そうした意味でも、今回のデザイン変更は頭の硬さと器の小ささを感じさせる非常に「がっかり」なものだった。

久しぶりに真面目に語ってしまった。本当に残念だったので、現在サンヨー時代のeneloopを買いだめしている。カラーバリエもおしゃれでオススメである。

2013.3.8投稿

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