『こねこのチョレート』(こぐま社)
4歳の女の子ジェニーは、弟のクリストファーの誕生日プレゼントに「こねこのチョコレート」を買う。クリストファーを驚かそうと、自分の部屋にチョコレートを隠したジェニー。けれども、その夜ベッドに入ると、たんすの中にかくしたチョコレートのことばかり考えて、眠れなくなってしまう。
そしてとうとう「ひとつくらい たべたって、クリストファーは 気にしないとおもうな」と誘惑に負けてしまう。そして、一つ食べたら止まらなくなってしまうのがチョコレートの怖いところである…。誰でも一度くらいは経験したことがあるのではないだろうか。一つだけのつもりでつまんだお菓子が、気がつくと全滅していたという経験を。
ジェニーは決して意地悪で食べてしまった訳ではない。自分からお小遣いでプレゼントを買うと言い出し、プレゼントを選んだジェニーの優しい思いは本物だ。だからこそ、自分のしたことを恥ずかしく思い、後悔している。誘惑に負けてしまったことを素直に認め、反省しているからこそ、家族もそれを叱らずに温かく見守り、飼い猫ティブルも助け舟を出してくれたのだと思う。子供だけでなく、大人も共感できるストーリーに、心温まるハッピーエンド。チョコレートの季節に読み聞かせたい絵本である。
2013.2.9投稿