吹部の夏
先週から中学校の夏休みがスタートしたが、ななちは毎日朝から部活だ。「夏休みなのにダラダラできない」「毎日学校行ってると夏休み感がまるでない」などとぶうぶう言いながらも決して休もうとはしないところを見ると基本的には楽しいようだ。
夏に大きなコンクールがあるので、吹奏楽部の夏はコンクール練の夏となる。私も中学校から高校、大学、社会人と、12年間ずっと吹奏楽を続けていたが、その間の夏の思い出は練習の思い出しかない。海やプール、お祭りなど夏ならではの遊びを楽しむようになったのは、結婚を機に吹奏楽をやめてからだ。
「夏に遊べないなんて可哀想…」なんてことを言われたこともあったが、私自身は全くそうは感じなかった。楽器を吹くのが好きだったし、皆で一つの音楽を作り上げていくのもワクワクした。練習の合間や帰り道に友達とだべるのが楽しかった。身も心もどっぷりと吹奏楽にハマっていたのだ。
吹奏楽をやめてから自分に趣味があまりないことに気がついた。読書やおかし作りなど、好きなことはそれなりにあるが、いずれも吹奏楽のように夢中で打ち込めるものではない。それは今も変わらず、多趣味な夫をみては羨ましいなあと思っている。
ただ限りある人生の中で、心から夢中になれるものに出会い、それに打ち込める環境にあった私は本当に恵まれていたなと思っている。特に、週末や長期休みのたびに練習に出かけてしまう私を少し寂しそうに、でも快く送り出してくれた母には感謝しかない。今度は私が母の立場で、ななちが好きなことに夢中になれる環境を作っていってあげたい。
2019.7.22投稿