絵本レビューとWwbと…

『モチモチの木』(岩崎書店)



先日の高校の友達との集まりで子供の時に読んだ「怖い絵本」というのも話題になった。エコナゲットから絵本まで、実にとりとめのない話をしたものだと思う。

そこで話題に出たのが怪談絵本シリーズの『いるの いないの』 (怪談えほん3)である。「あれは絶対トラウマになる!」と友人が力説していた。確かに表紙からして不気味だし、書いているのは京極さん…。絶対怖そうだ。個人的には読んでみたいが、怖がりのななちが読んだら夜一人で寝てくれなくなりそうなので購入は断念。

もう一つ話題にのぼったのが『モチモチの木』である。切り絵で描かれたモノトーンベースの絵が怖かったという友人がいた。「でも確かストーリーは、おじいちゃんのために子供が頑張るいい話だった気がする…」とのこと。私も随分昔に読んだきりで、表紙の絵は印象に残っているものの、ストーリーは忘れてしまっていた。ちょっと気になったので、図書館で探して読んでみた。端的に言うと、まさに友達の話した通り「じいちゃんのために子供が頑張るいい話」だった。

じいさまと二人暮らしの豆太は、とても怖がりで夜中に一人でおしっこに行くことができない。外の厠に行く時に通る大きなモチモチの木が、夜には恐ろしく見えるためである。そんな豆太にじいさまは「本当に勇気のあるものだけが見ることができるモチモチの木の光」の話をするが、豆太は自分には見ることはできないとはなから諦めモード。今風に言うと「ヘタレ」な豆太であったが、じいさまはそんな豆太を愛し、大切に育てていた。

ある晩、いつものように豆太はおしっこに行きたくなり目を覚ますと、隣でじいさまが苦しそうに悶絶している。お医者さんを呼んでこなくては…と豆太は夜の闇に向かって走り出す…。

この絵本には二つの「怖さ」が描かれている。一つは夜の闇がもつ根源的な怖さ。そしてもう一つは、誰もがいつかは経験することになる「死」により大切なものを失うという怖さである。子供の頃に怖いと感じたその友達は、おそらくこの二つの「怖さ」の存在を敏感に感じ取ったのだろう。

モチモチの木も怖いが、じいさまがいなくなるのはもっと怖いと奮起する豆太の姿は、人は人のためにこそ強くなり、力を発揮することができるのだと教えてくれる。じいさまが元気になった後は、また甘えん坊の豆太に元どおり…というオチも実に人間味があってよい。

2014.3.30投稿

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