『ポッ・スットン』(福音館書店)
昨日ななちから素敵なお手紙をもらったので、今日はポストの絵本を一冊紹介しよう。ななちが幼稚園の時に購読していた福音館の「こどものとも」(月の絵本)シリーズの『ポッ・スットン』。「こどものとも」シリーズはななちのお気に入りが多いが、これもかなりのお気に入り絵本であった。
明日はあーちゃんのお誕生日。おばあちゃんに来て欲しくて手紙を書いてポストに入れたものの、外は大雪で郵便屋さんが回収に来る様子はない。あーちゃんは心配になり、ポストに手を当て明日までにお手紙を届けて欲しいとお願いする。
みんなが寝静まった夜、なんとポストは一本足をひねり、「ポッ スットン!」と地面から抜けたかと思うと「スットン スットン」と一本足で跳ねながら雪の積もった坂道をおばあちゃんの家目指して登り出す…。
途中雪が深くなって動けなくなるたびに、どこからともなく帽子を被った紳士や2人の兄妹、鹿にタヌキ、そして熊が代わる代わる出てきて、ポストを押してくれるのだが、ポストがお礼を言おうと振り返ると、なぜか忽然と姿を消してしまう。この謎の協力者の正体は、絵をよくみていれば子供でもすぐに理解できる。ななちも正体がわかった時は目をキラキラさせて喜んでいた。
なんとかおばあちゃんの家に着いたポストは、一発大きなくしゃみをして手紙を吐き出すと、その弾みで登ってきた坂を滑り降り…もといたところに「ポッ スットン」とおさまるのである。最後のページにはケーキを持ったおばあちゃんと、それを嬉しそうに迎えるあーちゃんの姿が描かれている。雪降る夜の心温まるファンタジー。顔はないのに、実に表情豊かなポストがとても魅力的な絵本である。
2014.1.28投稿