『かみさまからのおくりもの』(こぐま社)
可愛らしい天使がプレゼントを持って微笑んでいる表紙の絵、よく見るとこれは切り絵であることがわかる。この絵本はもともと一人のお母さんが娘さんのために作った手作り絵本が元になっている。そのため、この絵本のテーマにはとても説得力があり、共感することができる。子供というより、子育て中のお母さんにこそすすめたい一冊である。
「他の子はもうこんなことができる」とか「うちの子は他の子より寝ない」とか、母親というものは、ついつい他の子供と自分の子供を比較しがちだ。おそらくそれは、自分の育て方は正しいのかと不安になって見本や指針を求めようとする結果であり…つまりは一生懸命育てようとしていることの裏返しだともいえる。特に初めての子供ともなると、手探りもいいところだ。核家族化が進み、子育ての先輩である祖母や親戚も近くにおらず、雑誌やネットの情報に頼り試行錯誤で育てていかねばならない。その結果、比較し、他と違うと叱ってしまう…。作者自身も実際にそうした経験をしている。そしてその結果「本来もっている個性を壊してはいけない」と気がつき、この絵本を書いたのだそうだ。
ななちも小さい時から、割と個性的な子だったので、何度か軌道修正しようと試みた。しかしこの本を読んで、「あ、いいんだ。」と気持ちが楽になった。私は軌道修正を諦め、ななちはのびのびと個性を伸ばし、立派な恐竜マニアの釣りガールになった。(笑)
子供が生まれ持った根っこの部分を受け入れ、大きく成長させ、多様な社会の一員として根付いてくれるようにサポートしていく。シンプルなようでとても難しいが、それが子育てなのだとこの絵本は教えてくれた。
2013.1.9投稿