絵本レビューとWwbと…

まちにはいろんなかおがいて

『まちにはいろんなかおがいて』(福音館書店)

ななちが幼稚園の頃に定期購読していた「月刊こどものとも」で出会った『まちには いろんな かおが いて』が、ハードカバー版になって書店に並んでいた。ななちが大好きだった一冊で、何度も読み聞かせした思い出がある。懐かしさから思わず購入。姪っ子ちゃん(姉)が当時のななちと同じ年齢になったのでプレゼントしたところ、とても喜んでくれた。まだ文字が読めない妹ちゃんの方も、読み聞かせと写真でストーリーを理解し、楽しんでくれた。

ぼくが てくてく あるいていくと
まちには いろんな かおが いて
つぎつぎ
かおが
かおをだす

主人公の「ぼく」は、散歩の中で色々な「かお」と出会い、その「かお」たちと会話をする。足元にあるマンホールの丸いかお、遊具のネジの小さなかお、見上げるほど大きな家のかお。ページをめくるたびに、子供目線で撮られた様々な「かお」が登場し、まるで一緒に散歩しているような気分になる。無機質な物体なのに「かお」だと思った瞬間から、きげんのいいかお、しぶいかお、困ったかおなど、異なる表情があるように見えてくるのが不思議だ。

この本を読み終わった後は、ななちと身の回りを見渡しておもしろい「かお」がないか二人で探しっこして遊んだ。ななちもこの絵本のことは良く覚えているようで、懐かしいと話していた。

この本は意外と古く、初版は1997年である。ななちが幼稚園の時に読んだもの(2010年10月号)も復刻版であり、2013年にハードカバー化して販売されるようになったらしい。年月が経っても変わらず人気が高いのは、マンホールや家の窓などが「なんとなく顔っぽく見える」という、誰もが一度は経験したことのある感覚をテーマにしているからだと思う。この「顔じゃないのに顔にみえる」という現象は「シミュラクラ現象」と呼ばれるものだとななちが教えてくれた。人間の脳には、点や線などが逆三角形に配置されたものを見ると顔だと判断する働きがあるそうだ。10年前には「ママ〜、ここにもかお!」なんて言っていた子が「これはシミュラクラ現象っていうんだよ」なんて教えてくれるようになるとは。なんとも不思議な感じがする。

歳を重ね人生経験が増えてくると、過去の経験を基に物事を判断するようになるため、視野や発想力は狭くなりがちだ。ちょっと視点をかえるだけで、普段なら気にも留めない事柄が輝いて見えたり、新しい世界が拓いたりするかもしれない。(カーネルサンダースのロゴが棒人間に見える世界とか…。)
                       

2021.2.12投稿

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