絵本レビューとWwbと…

『まゆとおに』(福音館書店)


昨日は節分だったので、今週は鬼の絵本を紹介。『まゆとおに』は、やまんばの娘まゆが、自分では気がつかないうちに自分を食べようとしていた鬼を退治してしまう愉快な物語である。

雑木林を散歩していたまゆは、お腹を空かせた巨大な赤鬼と遭遇する。鬼は女の子を鍋で茹でて食べてしまおうと住処へと誘い込む。ところがまゆは、湯を沸かすための薪を集めてくれと頼めば、松の木を一本根こそぎ引っこ抜き、かまどを作るための石を集めるよう頼むと、岩壁を蹴り崩す。若干圧倒されつつも、鬼はなんとか湯を沸かし、まゆを湯の中に放り込もうとするのだが…。

天真爛漫な怪力の女の子が、無邪気に悪を懲らしめる…というストーリーは『長靴下のピッピ』に通じるものがある。現実世界では非力でか弱い存在であるからこそ、小さな女の子が、小気味よく悪を退治するというのは、ワクワクするし、読んでいて気持ちがよいのかもしれない。最後は鬼も改心して友達になるというハッピーエンドも心温まる。

絵もユニークで、鬼の表情も実に豊かだ。悪巧みをしている時のにやけ顏、目が飛び出そうなくらい驚いた顔…など見ているだけで笑えてしまうものもある。また、ページの隅っこで、鬼とまゆのやりとりを見守る狐の表情にも注目してほしい。
個人的には、このまゆ、鳥山明氏の『Dr.スランプ』のアラレちゃんに思えて仕方が無い。

2014.2.4投稿

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