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『ゆうびんやさんのホネホネさん』(福音館書店)



子供の頃、骸骨が怖かった。小さな頃に聞いた喋る髑髏の話がとても恐ろしかったのだ。タイトルもストーリーも忘れてしまったが、その不気味な印象だけが強く印象に残り、骸骨が自分の体の中にある骨なんだとわかる年になっても、しばらく怖かった。実を言うとこんな歳になった今でもちょっと苦手だ。子供の頃に見た絵や映像というのは、その後の人生に結構大きく影響する。

幸せなことに、ななちの骸骨デビュー?(…というのも変な言い方だが。)は、ちょっとユニークで面白い骸骨「ゆうびんやさんのホネホネさん」である。骸骨が郵便自転車をこぐという、ちょっとシュールな表紙のイラストに最初はひきぎみだったななちだったが、読み始めるとホネホネさんが自転車をこぐ「ギコギコキーッ。」に夢中になった。

ストーリーは郵便屋さんのホネホネさんが、町を回ってお手紙を配達する、というものである。配達先は木の上から穴の中、池の底までと幅広いが、ホネホネさんは途中迷ったりもしながら「ギコギコキーッ」と配達を続ける。そのお手紙は、登山や花火大会へのお誘いだったり、おしゃれコンテストへの招待だったりとみんなにとって大切なお手紙だからだ。

夏休みに入ると、ホネホネさんにたくさんのお手紙が届く。皆が花火大会の様子やコンテストの結果などをホネホネさんに知らせてくれたのだ。おまけにガールフレンドのホネコさんからお手紙をもらい、ホネホネさんはますます元気に配達に出かける。

仕事に真摯に取り組むこと、そしてしてもらったことに感謝をすることの大切さをやさしく教えてくれる絵本である。こうした内容はゆうびんやのくまさん (世界傑作絵本シリーズ―イギリスの絵本)など他の絵本にもよく見られるものであるが、やはり主役が骸骨である、というところがインパクト大で面白い。版画のような、白黒の線画というのもホネホネさんの世界観にぴったりである。

2013.10.9投稿

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