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ふるやのもり

『ふるやのもり』(福音館書店)

日本人にとっては、ごく馴染みのあるニホンザル。実は世界に分布する猿たちと比較すると、とても珍しい特徴を持っているのだ。「アイアイ」の歌にあるように、一般的に猿の尻尾は長く、木の上でバランスをとったり、木にぶら下がったりするのに使われている。それなのに、ニホンザルの尻尾だけとても短い。その理由が語られているのがこの「ふるやのもり」である。

馬を盗みに入った泥棒は、お婆さんが何よりも怖ろしいと話した「ふるやのもり(古家の漏り=雨漏り)」を未知の化け物だと思い込む。落ちてきた雨の雫を化け物だと思った泥棒は、驚いて納屋に隠れていた狼の背中に落っこちる。突然背中に落ちてきた泥棒を化け物だと思い込んだ狼は全速力で逃げ出す。森に逃げ込んだ狼は、背中から飛び降りて大木のうろに隠れた泥棒を化け物だと思い込み、森一番の知恵者の猿に退治を頼み込む。猿は化け物を釣ろうと、長い尻尾を木のうろの中に垂らすが…。

勘違いに勘違いが重なり、最終的に猿の尻尾の話にオチがつく、愉快な日本の民話である。

ちなみに、猿の尻尾が短い本当の理由は、長い尻尾だと凍傷になってしまうためだとのことだ。雪が降るような寒冷地に住んでいる猿は、実はニホンザルだけなのである。その結果、尻尾が短くなったり、顔やお尻が赤くなったり、寒い時に群れで集まって寄り添う「猿団子」と呼ばれる習性を身につけたり…独自の進化をして適応してきたのである。世界に数多くいる猿の中で、温泉に入るという習性をもつのがニホンザルのだけである、というのもこうした理由によるものである。

2013.6.5投稿

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